星は動いてる

偶然の出会いが迷い人の明日を輝かす物語と日々のこと

星は動いている

あゆむの場合(5)

あゆむの場合 あゆむ の場合(4) からのつづき 「どうかされましたか。」 ともこさんの声で我に返る。「いえ。」 何とか答えたが、あの時の光景がフラッシュバックする。動揺を悟られまいと姿勢を正し、前のめりでホロスコープを覗き込む。 ともこさんは、…

あゆむの場合(4)

あゆむの場合 あゆむ の場合(3) からのつづき 求職状況は足踏み状態。大きな進展もなく、ともこ さんに会う日がやってきた。約束の時間は15:00。15分前位に到着するには・・・と時間を逆算。着替えをして、昼食を済ませるにしても、まだまだ余裕はある。…

あゆむの場合(3)

あゆむの場合 あゆむ の場合(2) からのつづきバッグを手に会計を済ませ、店の外に出る。「チリンチリン」ドアベルの音を背に思う。(俺、大丈夫か。)普段の自分からは想像できないほどの思い切った言動に、足元がフワフワしている。(とにかく帰ろう。も…

あゆむの場合(2)

あゆむの場合 あゆむ の場合(1) からのつづき 「先ほどの女性との話のことでしょうか」「はい。盗み聞きするつもりはなかったんですが、気になってしまって。」少しためらうような表情をみせ、占いの女性が口を開く。「占星術でみた運勢鑑定だったんです。…

あゆむの場合(1)

あゆむの場合 季節はずれの気温。まだ4月なかばだというのに、初夏の陽気だ。気温もそうだが、自分の就職活動も全くもって季節はずれだ。 商店街を少し入ったところで、純喫茶風といえば聞こえはいいが、近所の常連さんがサンダル履き、新聞持参で利用しそう…